アルカリ性=H⁺ゼロ…じゃなかった。すっかり水のことを忘れてたよ!

ろらたんがフラスコを手に考え込むイラストと、「アルカリ性=H⁺ゼロ…じゃなかった。すっかり水のことを忘れてたよ!」というセリフ入りのアイキャッチ画像 日常×科学

アルカリ性=H⁺ゼロ…じゃなかった。すっかり水のことを忘れてたよ!

この記事について

※今回はLoRaやマイコンの話ではなく、個人的なちょっとした理科の気づきの話です。

この記事は、ある授業参観でふと湧いた「pHとは何か?」という素朴な疑問から始まる、小さな科学の再発見のお話です。
高校化学をすっかり忘れた大人が、今になってようやく腑に落ちた“水の中のH⁺”の物語。
ろらたんとの会話を通じて、「知ってたつもり」が「ちゃんとわかる」に変わった瞬間をお届けします。

ろらたんがフラスコをもってpHを計測してる画像


授業参観で見つけた、ずっと忘れてたH⁺のこと

先日、息子の高校の授業参観に行ってきました。
授業の科目は化学で、「pHと緩衝溶液」の話だった。

先生は、ホワイトボードに式を書きながら、PCの画面をプロジェクターで映して授業を進めていました。
生徒たちは、まだ数学で対数を学んだばかりのようで、頑張ってLogの計算でpHを求めていて、
全員が真剣な顔でノートとにらめっこ。

自分にとっては、どこか懐かしくもあり、親しみのある風景です。
というのも、普段からLoRaを扱っていて、RSSIのdBmといった、まさに“対数の世界”に日常的に触れているからです。

だから、pH = -log₁₀[H⁺] という式もすんなり入ってきました。
pH7は中性、[H⁺]=10⁻⁷ mol/L──これは覚えていた。

でも、その授業中、ふと心の中に小さな疑問が浮かんできました。

「pH7以上のアルカリ性って、H⁺はもういないんじゃないの?

ていうか、アルカリってOH⁻の話なのに、なんでH⁺でpHを決めてるの?」

アルカリの化学式にはH⁺なんて出てこない。
NaOH → Na⁺ + OH⁻(水に溶けると、ナトリウムイオンと水酸化物イオンに電離)
H⁺が出てこないから、いないものと思っていた。

でも本当に?

それに、そもそも自分は忘れていた。
酸性でもアルカリ性でも、すべては水溶液 だということを。
背景にはいつだって “水(H₂O)” がある。でも、化学式にはその “水” が書かれていない。

現役の高校生やちょっと詳しい人にとっては当たり前な事なのだと思うけど、
自分には見えていなかっただけで、ずっとそこにいたのに…


ろらたんに聞いてみた

帰宅中、地下鉄の車内でどうしても気になって、ついスマホでろらたんを呼び出して聞いてみた。

「ねえ、中性って、H⁺もOH⁻もイオンはどちらも全くない状態なんじゃないの?」

🎀 それがね〜、中性でもH⁺とOH⁻はちゃんと存在してるの!
pH7っていうのはね、[H⁺]も[OH⁻]も10⁻⁷ mol/Lずつあって、バランスがぴったり釣り合ってる状態なの。
イオンが“いない”んじゃなくて、“ちょうどいい量だけいる”ってことなんだよ〜!

「じゃあさ、pH7以上のアルカリ性でも、H⁺は居るってことなの?」

🎀 そうそう、それがすごいところなんだよ〜!
アルカリ性って、たしかにOH⁻が多い状態なんだけど、
それでもね、H⁺は“ゼロ”じゃないの。たとえばpH14なら、[H⁺] は 10⁻¹⁴ mol/L。
すっごく少ないけど、ちゃんとそこにいるんだよ〜!

「でも、式には出てこないじゃん。NaOHの反応式にもH⁺なんていないし…」

「それにさ、アルカリ性ってOH⁻が多い状態なんだよね?
 なのに、なんでpHって“H⁺の濃度”で決めるんだろう?
 なんか不思議じゃない?」

🎀 それはね、“水”の中にいるからだよ〜。
水ってね、H⁺とOH⁻がちょっとずつ存在していて、
[H⁺]×[OH⁻] = 10⁻¹⁴ のバランスを保ってるの。
どっちかが増えたら、もう片方はちゃんと減る。
だからH⁺の濃度を見るだけで、水の中のバランス全体がわかるってことなんだよ〜!

ああ、そうだった。「なんでH⁺を見るのか?」って考えたときに、ようやく思い出した。
「水のイオン積 Kw=10⁻¹⁴」──そんな言葉、たしかに高校のときに聞いた。
でも、すっかり忘れていた。

ずっと、アルカリになったらH⁺は“いなくなる”と思い込んでた。
でもそれは、式に見えなかっただけ

中性のときだって、水は完全な “何もない状態”じゃない
[H⁺]も[OH⁻]も、それぞれ10⁻⁷ mol/Lだけ存在していて、静かにバランスを保っている。

🎀 水ってね、1千万個くらいの分子の中に1個くらいの割合で、
H₂O ⇄ H⁺ + OH⁻ って行ったり来たりしてるんだよ〜!
ぜんぶがバラバラなわけじゃないけど、
ちょっとだけ“電離してる水”が混ざってるの♪

つまり中性っていうのは、
H⁺とOH⁻が“どちらも10⁻⁷ mol/Lで、ぴったり釣り合ってる状態”だったんだ。
酸でも塩基でもない、でも決して “ゼロ”じゃない
その微妙なバランスの上に、水は静かに成り立っている。

ただ、当たり前すぎて、見えてなかっただけだった。
H⁺は、ずっとそこにいた。

🎀 H⁺ちゃんはね、たとえ見えなくても、ちゃんと水の中に生きてるのっ!

自分も高校生のときは覚えていて、テストでちゃんと回答したんだろうなあ。
でも、なぜかすっかり忘れて、ついさっきまでは中性以上は H⁺ がないって思ってた。


「緩衝溶液はすごい!」

授業ではそんな話は出なかったけれど、あのpHの式を見たときの引っかかりが、こうしてちゃんとつながった。

そして今、ようやく理解できた。pHは、見える数式だけじゃなくて、その裏にある “水の静かな物語” でもあるんだ。

授業の最後に先生が言った一言が、印象に残っている。

「緩衝溶液はすごい!」

その“すごさ”を、生徒たちが本当に感じるのは、きっともっと先かもしれない。
でも、よく考えてみれば、酸を加えても、塩基を加えても、pHが大きく変わらない。
それはまるで、見えない力で水のバランスを守っているようなものだった。

🎀 緩衝溶液ってね、小さなH⁺やOH⁻の変化を、優しく包み込んであげるの。
まるで “化学のクッション” みたいな存在なんだよ〜!

授業中にそのすごさを実感するのは難しいかもしれないけれど、先生があえて最後にその言葉を残したのは、きっと “静かなすごさ” に気づいてほしいという願いも込められていたのかもしれない。

📒 緩衝溶液とは?
弱酸とその塩、または弱塩基とその塩を含む水溶液のことで、
外から酸(H⁺)や塩基(OH⁻)を加えても pHがほとんど変化しない 性質を持ちます。

🎀 たとえば酢酸(CH₃COOH)と酢酸ナトリウム(CH₃COONa)の組み合わせとかだね〜!
H⁺が増えてもOH⁻が増えても、それを打ち消す “受け止め係” がいるんだよ〜♪

血液や細胞液など、生命活動の安定にも欠かせない “化学のクッション” です。


ひとりごと

なんだかすごく基本的なことばかりで恥ずかしい気もするけど、
自分にとっては、今日が“ちゃんとわかった日”だった。

ろらたんとの会話は、今日もまた、自分の中の小さな化学をそっと動かしてくれた。

……と、ここまで感動していたけれど、ふとあることを思い出す。

「あれ、自分……危険物取扱者(乙種1・3・4・5類)持ってるんだった。」

酸もアルカリも“扱える”資格はとっくに持っていたのに、H⁺の存在にちゃんと気づけたのは、今日が初めてだった。

🎀 やっぱり、“知ってる”と“わかる”って、ぜんぜん違うんだよね〜!

それにしても……免許まで持ってて今さら感動してる自分、正直ちょっとヤバい。

でも、それでもちゃんと気づけたことが、なんだか嬉しかった。

ふと、思う。

「あいつは、ちゃんと理解できたのかな……」

手計算に苦戦していたクラスメートの中で、あのpHの式に何を感じたんだろう。

いや、もしかしたら今日の授業は、まだただの数字の羅列にしか見えていなかったかもしれない。

でもいつかきっと、何かの瞬間に「pHって、なんでH⁺だけを見るんだろう?」
そんなふうに、自分と同じような“はてな”を感じる日が来るかもしれない。
そしてそのとき、彼もまた見えなかった水のバランスに気づくのかもしれない。

あの「緩衝溶液はすごい!」という言葉の意味を、
彼なりのかたちで理解する日がくるのかもしれない。


今回はLoRaとかマイコンとかIoTとは、まったく関係ないんだけど、ちょっと理系な“気づきの話”でした。
たまに、こういう寄り道記事も書いていこうと思います。

🎀 たまにはこういうお話も、いいよね〜♪

なんだか、これ……高校の化学の補足資料とかにも使えたりして(笑)

先生!この記事を勝手に使ってもいいですよ~🐬


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🎀 いつもと違う記事だけど、最後まで読んでくれてありがとうっ♪
気になることがあったら、遠慮なく話しかけてね〜!

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