LRA1で農業IoTをやってみた!静電容量式の土壌センサーで実験!
この記事について
前回の記事では、LRA1で導電式センサーを使ったIoT農業実験を試してみたけど、うまくいかないことも多くて「ダメでした」って感じで終わってしまいました。
今回はその続編として、静電容量式のセンサーを新しく購入して、改めて実験してみた記録を書いておきます。

🎀 導電式センサーと、静電容量式はどうちがうんだろう?実験してみるよ!
導電式センサーの実験結果
先週から導電式センサーを使って実験してたんですけど、
ちょうど雨が多くて、土壌が乾くタイミングがほとんどなく、データもあまり取れませんでした。
で、今回の静電容量式と一緒に実験するためにいったん引き上げて見てみたら、センサーの一部が変色してる!
たぶん腐食してたんだと思います。

導電式センサーでは、
- 土壌の塩分によって値がぶれる
- 出力がデジタル(ON/OFF)に近く、変化が分かりづらい
- 電極が腐食しやすい
やっぱり 長期の運用には向かないかも… って印象。
🎀 うう…これじゃあ、農業IoTにはちょっと厳しいかも…
静電容量式センサー
導電式センサーは使い勝手が悪かったので、静電容量式センサーをテストしてみることにしました。
静電容量式センサーの特徴は、
- アナログ出力で細かい変化を拾える
- 電極が絶縁されてるので腐食に強い
早速、実験しようと思って、Amazonで静電容量式センサーの 2個セット の製品を購入してみました。

Amazonでポチった静電式土壌センサー
1つは実験用、もう1つは分解解析用として使ってみるつもりです。
回路を解析してみた
まず、本体をよく見てみると、センサー本体には「Capacltlve Soll Moisture Sensor」とシルク印字されていて、いきなりスペルミスが目を引きます(正しくは “Capacitive Soil Moisture Sensor“)。
v2.0 になっても修正しなかった?

🎀 見た目は真面目そうなのに…いきなりスペルミスって、ちょっと残念かも〜!
ネット上にはよく似た見た目のセンサーがたくさん出回っていて、どれも基本構成は同じようだけど、回路がちょっとずつ違う感じ。
構造としては、水分量によってCR積分回路の時定数が変化し、アナログ出力が変わる仕組みになってます。
タイマIC(TL555C)で矩形波を作って、CR積分、ダイオードで整流・平滑して電圧として出力。電源は5V入力で、内部にLDOがあって3.3V駆動になってます。
分析してみたついでに、備忘録として簡単な回路図も描いてみました:
- Cの値はチップサイズやパターンからの推定です。
- TL555CのCONT端子(Pin5)は未接続。定番の0.01μFキャパシタもなし。
- ダイオードのシルクが「T4」とか、ちょっと不思議な表記でした。
🎀 こだわってるようで、ゆるいところもあるっていう…このギャップ、ちょっと面白いよね〜!
オシロスコープで波形観測
オシロで観てみると、発振周波数は約1.4MHzでした。
ネット上では似たようなセンサーが400kHzくらいって書かれてたりするけど、今回のはかなり高速。
- 水色:発振波形(矩形波)
- 桃色:CR積分後の波形
- 黄色:最終的なアナログ出力
🎀 こういう波形、きれいに出てくれると気持ちいいよねっ
ちなみに、オシロで計測するために、基板にプローブ用の線を付けたら、それだけでアナログ値が変わっちゃいました。
出力のアナログ値が低下する方向(湿っている側)になってしまい、オシロでの観測時は計測値はあくまでも参考です。
結構センシティブなんですね。
実測データと挙動
まずは、土壌で試す前に、コップの水で試してみました。
以下のような電圧を確認しました:
| 状態 | 出力電圧 | 備考 |
|---|---|---|
| 乾燥 | 2.80V | 空中に放置した状態 |
| 水に浸す | 1.36V | コップの水に完全に浸した状態 |
※水に浸すのは、センサー部分のみで、ラインが描いてあるところまでです。
徐々に水に浸していくと、センサーが半分程度まで水没したところで1.36Vに到達。
それ以降はほとんど変化なし。
そこまではわりとリニアな感じでした。
🎀 すごい、ちゃんと“それっぽい”値が出てる〜!
早速、実験したみた!
今回は、先週から使っていた導電式センサーと一緒に、LRA1で同時に計測できる構成にしました。
どちらも同じプランターで計測することで、計測値の変化の違いなどの比較できるようになると思います。
LRA1との接続は次のようになっています。
| ポート | AN | センサー側 |
|---|---|---|
| PA7 | x | VCC(両センサー共通の電源) |
| PA8 | AN16 | 導電式センサーのアナログ出力 |
| PA9 | AN17 | 静電容量式センサーのアナログ出力 |
送信側のコードは以下のようにしました。
10秒ごとに両センサーの計測値と、電源電圧を送信します。
100 ' M5 EARTH / CAPA センサー 送信側 110 Sf=10:Bw=7:Cr=1:Ch=50:Gid=1234:Dst=1:Own=0 120 #="123456" 130 Do 140 Outp 7,1:Delay 100 150 V=Adc(27) 160 A=Adc(16) 170 B=Adc(17) 180 Outp 7,0 190 Print A,B,V:while print:loop 200 Txdw[8]=V:Txdw[10]=A:Txdw[12]=B 210 Send:outp 4,1 220 sleep 10 230 Loop
受信側のコードは以下のようにしました。
受信すると、センサーの値 x 2、電池電圧、RSSIをLCDに表示します。
100 ' M5 EARTH / CAPA センサー 受信側 110 Sf=10:Bw=7:Cr=1:Ch=50:Gid=1234:Dst=0:Own=1 120 Recv 0 130 Do 140 While !Stat:Loop 150 If Stat=10 Then 160 V=Rxdw[8]:A=Rxdw[10]:B=Rxdw[12] 170 Print A","B","V","Rssi 180 Lclr: Lprint 0(A,4);0(V/10,4) 190 Lpos=64:Lprint 0(B,4);0(Rssi,4); 200 EndIf 210 Stat=0 220 Loop
LCD表示も対応済みで、両方の値を受信側でリアルタイムに確認できるようにしてあります。
センサーの防水対策として、gootの防湿コーティング剤「BS-C20B」を部品面に塗布しました。
その上からコネクタごと熱収縮チューブで保護して、屋外設置にも耐えられるようにしてます。
今回使ったのは、成長中の朝顔が植わってるプランター。
水やりを1日忘れるとすぐ萎れるくらい吸水が旺盛なので、水分変化の検出にぴったり。
🎀 朝顔さん、意外とわかりやすい協力者かも〜!

センサー設置の様子

水やり直後のLCD表示
今回は、導電式で実験していた乾電池をそのまま使ったので、電源電圧が2.73Vで低めでした。
特に、静電容量式の方はLDOで電源を作っているため、ドロップアウトでかなり低下しているはずです。
ADCの値は電源電圧で変動するので、ちゃんと使うにはそのあたりを考慮する必要がありそうです。
送受信の距離は近いのですが、RCの壁を3枚経由しているわりには、RSSIが -78dBm で、かなり良好です。
まさに LoRa!といった感じです。
センサーを設置したのはこの記事を書いてる当日なので、まだ計測結果やグラフは取れていません。
データが溜まったら、後の記事 か X(旧Twitter) に投稿する予定です。
LoRaで送信しつつLCDでリアルタイム表示までは完了していて、今後はデータをネットにアップしたりWebhookで通知を出す応用例を試していくつもりです。
たとえば、Google Sheetsに記録したり、水やりアラートをスマホに送るような仕組みもアリかなと。
🎀 次はクラウドに飛ばしちゃう?農業IoTってほんと未来っぽい〜!
途中経過
ここまで記事を書いてたところで、センサーの値を再確認したら、導電式の値が大きく変わってました。
| 状態 | 導電式 | 静電式 |
|---|---|---|
| 水やり直後 | 38 | 1102 |
| 約6時間後 | 3660 | 1210 |
ログをよく見てみると、導電式は、ある瞬間に「35 → 3656」 という具合に、一気に値が変化していましたが、
その時以外ではほとんど変化はありませんでした。
ちなみに、このときの静電式では「1132 → 1136」という変化になっていました。
導電式はかなりデジタル的な感じですが、静電式はかなり緩やかでリニアな感じです。
静電式は変化が緩やかな分、キャリブレーションが大事かなと思います。
この反応の違いも、センサーの特性として今後の活用に活かせそうです。
🎀 ほんとギリギリだったけど、ちゃんと“観測”できてよかった〜!
まとめ
今回は、静電容量式センサーを導入して、導電式との比較実験を行ってみました。
導電式センサーは腐食や環境変化の影響を受けやすく、長期運用には課題がある一方で、
静電容量式センサーは構造的に安定していて、アナログ出力もわかりやすく扱いやすい印象でした。
LRA1との組み合わせでも、簡単な配線と数行のコードで、複数センサーの同時モニタリングが実現でき、
LoRaでのリアルタイム送信もスムーズに行えました。
今回はまだ初期段階の実験でしたが、センサーの挙動を確認できたことで、
今後の応用に向けたベースができたと感じています。
特にLRA1との相性は良好で、マイコン初心者でも比較的簡単に扱える構成に仕上がったと思います。
今後は湿度以外の環境パラメータ(気温や照度など)も組み合わせて、
より多面的な環境モニタリングに発展させていきたいです。
🎀 次はもっと本格的に“観測ステーション”って感じにできるかも〜!
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🎀 センサーのことで気になることがあったら、いつでも聞いてねっ!
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