Greaseweazle互換基板を作る!PC-98対応と変換基板の設計
この記事について
5インチFDDを読みたくて、Greaseweazle互換基板を作ろうとしています。
前回は、LCSCで部品を買った話と、FDD電源コネクタまわりで悩んだ話を書きました。
今回はその続きで、実際に回路図を見直して、基板を設計した話です。
PC-98用FDDを意識したジャンパーや、5インチFDD用の変換基板も追加しました。
部品はまだ届いていませんが、先にJLCPCBへ基板を注文してしまいました。

🎀 部品が届く前に基板を注文するの、ちょっと勇気あるよね
回路を少し修正
前回までに、Greaseweazle V4.1をベースに回路図を作っていました。
基本的なロジックは、元のGreaseweazle V4.1と同じです。
ここは変えない方針です。
Greaseweazleは、すでに実績のあるファームウェアがあります。
ファームウェアの変更が必要になるような改造をしてしまうと、動かなかったときに原因の切り分けが面倒になります。
ハードが悪いのか。
ファームが悪いのか。
それとも自分の理解が悪いのか。
そこを増やしたくありません。
今回やりたいのは、Greaseweazleとして普通に動く基板を作りつつ、5インチFDDやPC-98用FDDを扱いやすくすることです。
なので、基本動作に関わる部分は元の構成を尊重しています。
変更したのは、主に電源まわりとジャンパーまわりです。
🎀 まず普通に動くことを守るの、地味だけどいちばん大事だよ
LDOをやめた
最初は、DCジャックから入れた12Vを使って、そこから5Vを作る構成も考えていました。
5インチFDDでは12Vも必要になります。
それなら、12Vを入力して、基板上で5Vも作ればよさそうに見えます。
でも、そこで問題になるのが発熱です。
3.5インチFDDの仕様を見ていたら、5V側の最大電流が900mAくらいのものがありました。
12Vから5VへLDOで落とすと、電圧差は7Vです。
(12V - 5V) × 900mA = 6.3W
6.3W。
これは、さすがにちょっと無理があります。
常に最大電流が流れるとは限りません。
でも、LDOでこの熱を処理する前提にするのは、気持ち悪いです。
ということで、12Vから5Vを作る構成はやめました。
5Vは元のGreaseweazleと同じように、USBから給電する形に戻しました。
そもそもUSBでPCにつないで使う機器なので、それでいいんですよね。
12VはDCジャックから入力して、FDD電源コネクタへ出すだけにしました。
ただし、誤接続が怖いので、ジャンパーを経由するようにしています。
使うときだけ12Vを出す。
使わないときは切っておける。
こうしておけば、少し安心です。
結局、電源コネクタの変換をしているだけということになりましたが、
普通のACアダプタをそのまま使えるのがメリットという感じです。
🎀 6.3WをLDOで燃やすのは、もう電源回路というより小型ヒーターだね
PC-98用ジャンパー
もうひとつ変更したのが、PC-98用FDDを意識したジャンパーです。
元のGreaseweazleは、一般的なPC/AT系のFDDを扱う前提になっています。
もちろん、それで普通のFDDを使うには問題ありません。
ただ、PC-98用の5インチFDDを相手にすると、少し事情が変わります。
PC-98用FDDには、PC/AT系とは違う信号の扱いがあります。
元の基板のままだと、そのあたりに十分な配慮はされていません。
そこで今回は、いくつかの信号について、GNDへ落とすかどうかをジャンパーで指定できるようにしました。
対応した信号は、以下の5本です。
1 : 360/300 3 : WINDOW 7 : MFM/FM 11 : SYNC 17 : DRIVE-SELECTED
やっていることは、それほど大げさではありません。
信号を積極的に加工するわけでもないし、複雑な回路を追加したわけでもありません。
GNDに落とすか、Openのままにするのか、
それだけです。
FDD側が出力の場合は、Openにして邪魔しないようにする。
FDD側が入力の場合は、ドライブ側でPull-upされているはずなので、
OpenのときはHighになるだろう、というつもりです。
あとから「この信号、Highにできたらよかった」となると、基板を削ったり、空中配線したりすることになります。
最初から分かっているなら、考慮しておこうかなという感じです。
🎀 ジャンパーって地味だけど、あとから救ってくれる小さな保険みたいなものだね
余った信号線
元のGreaseweazle V4.1の回路を見ると、ほかにも気になる信号線があります。
たとえば、pin33は FLIPPY として入力になっています。
また、pin4とpin6も SPARE1、SPARE2 として出力できるようになっていました。
それなりに、いろいろできるようにはなっているみたいです。
たしか作者の説明でも、「ポートが余ったから」というようなことが書かれていた気がします。
今回ジャンパーにした5本の信号も、MCUの余ったポートに割り当てるという考え方はあります。
その方が、ソフトウェアから制御できてスマートかもしれません。
ただ、それをやろうとすると少し話が大きくなります。
74LS07のゲートは余っていません。
つまり、バッファを追加するならICを増やす必要があります。
さらに、ファームウェア側の変更も必要になります。
今回は、そこまではやりません。
目的は、Greaseweazleの基本ロジックを保ったまま、PC-98用FDDを扱いやすくすることです。
ファームウェア変更が必要になるような改造は、今回の範囲から外しました。
なので、ここはシンプルにジャンパーで対応することにしました。
🎀 できることを増やしすぎると、急に別プロジェクトになるからね
SWDコネクタ
ついでに、SWD用のコネクタも追加しました。
元のDebugコネクタにも、SWD用の信号は出ています。
なので、まったく使えないわけではありません。
ただ、ST-LINKやJ-LINKを使おうとすると、変換ケーブルやジャンパーが必要になります。
毎回それを用意するのは、ちょっと面倒です。
だったら、そのまま接続できるコネクタを増設してしまえばいいんじゃないかと考えました。
いままで、自分が作ってきたSWD対応のマイコン基板では、標準的な2×5のハーフピッチコネクタを使っていました。
今回もそれを追加しています。
ただ、よく考えると、Greaseweazleのファームウェアを書き込むだけなら、SWDを使わなくてもUSBからできるんですよね。
つまり、普通に使うだけなら、このコネクタは必須ではありません。
でも、せっかく付けてしまったので、そのまま残しました。
もしファームウェアを改造したり、デバッグしたりすることがあれば便利です。
使わないかもしれない。
でも、あると安心。
そういうコネクタです。
🎀 使わないかもしれないけど、あると急に心強い端子ってあるよね
基板を書く
回路図を修正したので、次は基板です。
本当は、部品が届いてから実物を確認して、それから基板を注文するつもりでした。
特にコネクタまわりは、実物で確認したいところです。
でも、LCSCで注文した部品の到着には、思ったより時間がかかりそうでした。
待っているだけなのももったいないので、できる範囲で基板を書いておくことにしました。
レイアウトは、できるだけ元のGreaseweazle V4.1に合わせています。
基板サイズやネジ穴だけでなく、コネクタ位置や主要部品の位置も、なるべく近づけました。
元の基板用のケースなどがあれば、それを流用できるかもしれないからです。
完全に同じにできるわけではありません。
でも、基板サイズや穴位置が近ければ、あとで何かと楽です。
既存のケースに入る可能性もありますし、少なくとも設計の基準にはなります。
🎀 元の形に寄せておくと、あとで何かを流用できる可能性が残るんだよね
2層にする
元のGreaseweazle V4.1は、ガーバーデータも公開されています。
それを見ると、4層基板でした。
主要なチップ抵抗やコンデンサも0402(メートル表記の1005)サイズです。
PCBAや自動実装なら、それでいいと思います。
でも、手実装を考えると0402は少しきついです。
できないことはないかもしれません。
でも、趣味で何枚も実装するには、あまり楽しいサイズではありません。
それに4層基板は、2層基板より少し高くなります。
JLCPCBの場合、4層でも緑色の基板なら、そこまで極端に高いわけではありません。
でも、緑以外の色にすると、いきなり高くなります。
緑のPCBは定番です。
でも、なんだか面白くありません。
ということで、今回は2層基板で作り直すことにしました。
基本的なチップ部品は0603(メートル表記の1608)サイズにしています。
高速な信号など、そこまでシビアなものは無いと思いました。
むしろ、なぜ元の基板が4層なのか、逆に少し不思議に思ったくらいです。
何か罠があるのかもしれません。
そこはちょっと心配です。
ただ、実際に配線してみると、思ったよりも素直に収まりました。
USBまわりだけ気をつければ、2層でも現実的に作れそうです。
🎀 4層を2層に落とすとき、ちょっとだけ“本当に大丈夫?”って顔になるよね
シルクなし
今回の基板では、いつもの自分の基板と少し違うことをしました。
部品のリファレンスを、シルクに書いていません。
普通は、R1とかC3とかU1とか、基板上に部品番号を書きます。
実装するときには、その方が分かりやすいです。
でも、完成した基板として見ると、ちょっとごちゃごちゃします。
元のGreaseweazle V4.1のPCBも、部品リファレンスを表に出さないデザインでした。
それを見て、確かにこの方がきれいだなと思いました。
今回の基板も、部品の種類はそれほど多くありません。
抵抗やコンデンサも、同じ値のものが多いです。
実装時に少し気をつければ、リファレンスがシルクに無くてもなんとかなります。
もちろん、組み立て用の資料やKiCadの画面を見ながら実装する前提です。
ユーザーが見る基板面に、細かい文字がびっしり入っているより、すっきりしていた方がいい気がします。
これは完全に好みの問題ですが、今回は見た目を優先しました。
🎀 部品番号を消すだけで、基板がちょっと製品っぽい顔になるんだよね
USBの遅延
今回、基板を書いているときに、初めて試したことがあります。
USBの配線に、長さ合わせのための遅延を入れてみました。
あの、配線がぐにゃぐにゃっと蛇行しているやつです。
元のGreaseweazleの基板を見ると、USBのD+とD-のところに長さ調整が入っていました。
いままで自分がUSBまわりの基板を作るときは、そこまで細かく意識していませんでした。
USB 2.0のフルスピードくらいなら、そこまでシビアではないのでは?
という気持ちもあります。
ただ、元の基板でやっているなら、合わせておいても悪くありません。
KiCadに長さ調整の機能があることは知っていました。
でも、ちゃんと使ったことはありませんでした。
せっかくなので、今回は試してみました。

たぶん、今回の基板で明確な効果を体感することはないと思います。
やってもやらなくても、普通に動くかもしれません。
でも、こういうのは経験です。
一度やっておくと、次に高速信号を扱うときに、心理的なハードルが下がります。
🎀 効果が見えなくても、スキルツリーに小さく経験値が入るやつだね
変換基板
今回、メイン基板とは別に、5インチFDD用の変換基板も追加しました。
最初は、5インチFDDへの接続は変換ケーブルでやろうと思っていました。
実際、ヤフオクなどを見ると、3.5インチFDD用の34ピンIDCから、5インチFDD用のエッジコネクタへ変換するケーブルもありましたが、ちょっと高いんですよね。
自作も考えました。
でも、34芯のリボンケーブルやコネクタを揃えると、それも微妙に高くなります。
それに、リボンケーブルの圧着は少し怖いです。
多分うまくできるとは思います。
でも、34芯をきれいに圧着して、向きを間違えずに作るのは、ちょっと気を使います。
一方で、3.5インチFDD用のIDCケーブルは、千石電商で安いものを見つけました。
両端IDCのケーブルが安く手に入るなら、それをそのまま使いたいです。
では、5インチFDD側だけを変換する小さな基板を作ればいいのでは?
ということで、変換基板方式にしました。
これで、安価に入手できる普通の34ピンIDCケーブルを使って、5インチFDDへ接続できるようになります。
🎀 ケーブルで悩んだ結果、基板を増やすの、電子工作あるあるの力技だね
捻りもジャンパー
変換基板は、単なるピン変換だけでもよかったのですが、少しだけ機能を足しました。
PC/ATのFDDケーブルには、ドライブ指定用の捻り部分があります。
いわゆるケーブルの途中で一部の信号が入れ替わっている部分です。
普通の3.5インチFDD用IDCケーブルを使う場合、この捻りがあるかどうかで扱いが変わります。
そこで、どうせ基板にするなら、この捻りに相当する部分をジャンパーで切り替えられるようにしました。
これで、ケーブルの種類や接続先に合わせて、ある程度逃げられます。
こういう変換基板は、ただピンを変換するだけでも役に立ちます。
でも、少しだけ切り替えを入れておくと、あとから試せることが増えます。
単につながっているだけなので、回路と呼べるほどのものではありませんが、
こんな感じの回路図になりました。

[クリックするとpdfで開きます]
🎀 変換基板にジャンパーがあると、急に“実験用装備”っぽくなるね
マウスバイト
メイン基板と変換基板は、ランナーでつなげることにしました。
いわゆる面付けです。
そして、あとで分離できるように、マウスバイトを入れました。
マウスバイトは、基板同士を細い部分でつなぎつつ、そこに小さな穴を並べておいて、折り取りやすくする加工です。
手でパキッと割れるようにする、あれです。

V-Cutでもよかったのですが、JLCPCBではパネライズ料金を取られることがあります。
今回は小さな変換基板をくっつけたいだけなので、マウスバイトで十分かなと考えました。
今まで、自分の基板でマウスバイトを入れることはあまりありませんでした。
でも今回は、メイン基板と変換基板を一緒に発注したい。
ただし、使うときは分離したい。
そうなると、マウスバイトがちょうどいいです。
こういう加工は、やってみると基板設計の自由度が少し上がります。
小さな付属基板をメイン基板にくっつけて発注できるので、試作ではかなり便利です。
うまくいけば、今後も小さな変換基板や治具基板を一緒に作るときに使えそうです。
🎀 メイン基板におまけ基板をくっつけるの、ちょっと食玩っぽくて楽しいね
注文した
本当は、LCSCから部品が届いて、コネクタの実物を確認してからPCBを注文するつもりでした。
特にFDD電源コネクタやエッジコネクタは、実物確認してからの方が安心です。
でも、部品の到着にはもう少し時間がかかりそうです。
前回の記事でも書いたように、LCSCの発送は思ったよりゆっくりでした。
その間に、基板設計はだいたい終わってしまいました。
ここで待つか。
それとも発注してしまうか。
少し迷いましたが、JLCPCBなら基板代はかなり安いです。
もし何か間違っていたら、そのときはまた修正して発注すればいいかなと思いました。
ということで、部品はまだ届いていませんが、PCBを注文してしまいました。
このあたりは、個人開発の気楽なところです。
仕事だったら、もう少し慎重に確認してから出すところかもしれません。
でも、今回は自分のプロジェクトです。
多少のやり直しも含めて、前に進めた方が楽しいです。
部品の到着と、基板の到着が同じくらいになるといいなと思っています。
こんな感じの基板になる予定です。
Greaseweazleメイン基板

5インチ FDD 変換基板

🎀 確認前に注文しちゃうの、ちょっと雑だけど、進捗が発生するから強いんだよね
次へ
今回は、Greaseweazle互換基板の設計について書きました。
回路図を少し修正して、2層基板で作り直し、5インチFDD用の変換基板も追加しました。
まだ部品も基板も届いていないので、この設計が正しいかどうかはこれから確認です。
次は、部品と基板が届いてからの実装編になる予定です。
🎀 次回はいよいよ、机の上が部品と基板で散らかる回だね
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