ステンシルプリンターを買ったので、さっそくプリントしてみた!

金属製スキージとハンダペーストを手に持つろらたん。「ステンシルプリンターを買ったので、さっそくプリントしてみた!」の文字が入った、しゃちらぼブログ #067 のアイキャッチ画像。 技術ブログ

ステンシルプリンターを買ったので、さっそくプリントしてみた!

この記事について

前から少し気になっていた、ステンシルプリンターを買ってみました。

こういう道具は、使い方が分かれば便利そうだけど、
買う前は本当に役に立つのか、いまひとつ分かりません。

実際に届いたものを触りながら、
さっそく、ハンダペーストをプリントしてみることにしました。

今回は、実際に使い始めて感じたことを書いてみます。

ろらたんがステンシルプリンタを見ている様子

🎀 まずは触ってみないと始まらないよね


いままで

基板を何枚も作るなら、ステンシルでハンダペーストを載せて、リフローするのが効率的です。

自分も、ある程度の枚数を作るときは、この方法でやっています。
規模は違いますが、メーカーの工場でやってることと同じです。

PCBにハンダペーストを載せる作業では、
PCBの上にステンシルを直接置いて、位置を合わせてからテープで固定して、手で押さえながらスキージしていました。

数枚なら、それでも何とかなります。

ただ、
ぴったりに位置を合わせて、ハンダペーストがはみ出さないようにキレイに載せて、
毎回同じようにプリントするのは、かなり難しいです。

ステンシルプリンターがあれば、もう少し効率よく、きれいにできるのかなぁ?
以前から、そんなことは考えていました。

🎀 数枚でも、毎回同じように仕上げるのが難しいんだね


買ってみた

最近、僕はほとんどのPCBをJLCPCBで作ってます。
JLCPCBでPCBを注文するとき、画面の下のほうに「あなたにオススメ!」という感じで、メカトロ系JLCCMCの工具や機械を紹介するバナーが表示されます。

そこで見かけたのが、今回買ったステンシルプリンターでした。

バナーには「SMT Stencil Printing – Suitable for 150x150mm Stencils」という文言と写真がありました。
価格は $46.51 と書いてあり、
自分が想像していたステンシルプリンターよりも、かなり安い気がします。

でも、この値段のもので、いったい何ができるんだろう?

気になって商品ページを見るだけのつもりが、まんまと広告に乗った感じです。

なぜか、商品ページでは約10%高い $51.10 になってたので、
あれ?と思いましたが、注文しちゃいました。
円安もあって、だいたい 8,000円くらいです。

ものすごく高いわけではないけど、勢いだけで買うには少し考える金額なんですよね。

ただ、今回はPCBや3D PRINTも一緒にオーダーする予定でした。
ステンシルプリンターを追加しても送料がほとんど増えなかったので、後から単品で買うより、今買っておいたほうがいいかなと思いました。

こういう工具類は、見つけると欲しくなってしまいます。

🎀 必要な人のところに届いたなら、広告としては大成功だね


15×15cm版

今回買ったのは、15×15cmのステンシルに対応したタイプです。

10×10cm版もありましたが、手元のステンシルは基本的に15×15cm。
今までJLCPCBでステンシルを作るとき、送料を抑えるためにカスタムサイズで15×15cmにしていました。

10×10cm版では、手元にあるステンシルが使えません。
JJY-SIMにも使えないので、少し安くても選択肢にはなりませんでした。

20×20cm版もありましたが、今後10×10cmを超えるPCBを作ることは、あまりない気がします。
普段の用途には15×15cm版がちょうどよさそうでした。

このプリンターは、

  • ステンシルサイズ:15×15cm
  • PCBサイズ:11.5×17cmまで
  • プリント有効エリア:10×13cm

となっています。

15×15cmのステンシルが使えても、15×15cmの範囲へプリントできるわけではありません。
ここは別なんですよね。

ちなみに、仕様に記載されている項目には、
Printing Speed : Manual Control
ってあるけど、冗談なのか真面目なのか…難しいです。

🎀 Manual Controlって、速度は人次第ってことだよね


取説と実物

UPSで届きました。
今回は、$100 を超えたので、消費税を払うことに…。


JLCPCBからの段ボール


ラップぐるぐる巻き

PCBなどと一緒の段ボールの中に、ラップでぐるぐる巻かれた箱に入ってました。


ステンシルプリンターと付属品

まず、実物を見ると、バネやレバー、高さ調整などがひとつにまとまっていて、
想像していたよりもしっかりしています。
これを自分で作る手間を考えると、この価格は悪くないのかもしれません。

付属品には、スキージ、プラスドライバ、六角ドライバが、
別の袋には謎の樹脂パーツと小さ目のプラスドライバが入っていました。

紙の取説や案内等は一切入っていませんでした。

取説はWeb上の商品ページにありました。
そこには数ページの図解や組み立て手順はありますが、
使い方の説明というよりは、各部品の説明だけという印象です。

実物を前にすると、最初はよく分かりませんでした。

PCBをどこへ当てるのか。
どこを基準にするのか。
アジャスターは、どの位置が正解なのか。

書いてあることが間違っているわけではないんです。
でも、実際に使うときに知りたいところは、触ってみないと分からない。

使いながら各部の動きを見て、ようやく取説の意味が分かってくる感じでした。

🎀 取説を読んだときは分かった気がした。なお実物


バネとレバー

最初に見たときは、やたらとネジとバネが多いと思いました。

セットしてみると、ステンシル側のバネはステンシルを引っ張り、PCB側のバネはPCBを押さえるためのものでした。
ネジは手で回せるナットと、六角穴付きネジがあります。
見た目では多すぎる気がしたけど、それぞれちゃんと仕事をしています。

裏側には、レバーとプーリーのような機構があります。


裏側のプーリー

ステンシルを上へ開いてPCBから離すのではなく、レバーを操作してPCB側を下げる構造です。
レバーを使うと、PCBをステンシルから剥がしてから離せます。

最初は謎の機構でしたが、実際に動かすと分かりました。

🎀 裏側の謎メカ、ちゃんと意味あった


PCBの形状と固定

PCBの前後は、PCBを保持するスライダーで挟んで固定します。
下側のスライダーはバネで押しているので、PCBにテンションをかけて挟むことになります。

左右には、磁石で本体へ張り付く支柱を置きます。
黒色の支柱をPCBの左右に当てて、動かないようにします。

同じ形の支柱には、PCBの高さに合わせるものもあります。
白い支柱はPCBの下へ置いて、下側から支えます。


PCBのスライダー支柱


PCBをスライダーに装着

スライダーと磁石式の支柱を動かして、PCBの大きさや位置に合わせる構造です。

PCBの外形をスライダーへ当てて固定するため、どこかに平行な辺が必要です。

普通の四角いPCBなら問題ないけど、異形のPCBなどは難しそうです。

🎀 同じ支柱が、横止めにも下支えにもなるんだね


最初の位置合わせ

最初に一番時間がかかったのは、位置合わせです。

PCBとステンシルをラフにセットして、プリンターの調整機構で合わせようとしました。
でも、最初のズレが大きいと、微調整どころではありません。


ステンシルのクランプ

まず、おおよその位置まで持っていく。
そこから細かく合わせる。

この「おおよその位置まで」が、なかなか合いませんでした。


ステンシルの位置合わせ

PCBの厚みに合わせるため、高さのアジャスターがあります。
ただ、適切な高さがよくわからなかったので、少し適当になりました。


アジャスター

1枚、2枚だけなら、今までのように手でステンシルを合わせて、テープで固定したほうが早いかもしれない。
最初に使ったときは、そんな印象でした。

たぶん、やり方が悪いんでしょうね。

🎀 楽をするための道具なのに、最初だけめちゃくちゃ手がかかるやつ


最初のプリント

どうにかこうにか、PCBとステンシルの位置と高さを合わせて、
実際にハンダペーストをプリントしてみました。

付属しているスキージは金属製です。
今まではシリコンのヘラを使っていたので、金属製は初めてでした。

使ってみると、これがかなりよかった。

プリンターに固定されたステンシルは平らで、しかもがっちり固定されています。
手で押さえていたときのように、途中でずれないか気にする必要がありません。

固定されている安心感があるので、スキージをしっかり当ててプリントできます。

金属製のスキージもステンシルへきれいに当たります。
今までは、スキージしたあともステンシルの上にハンダペーストが結構残っていましたが、付属のスキージでは、ほとんど残りませんでした。


スキージ

ステンシルプリンター本体だけでなく、このスキージもプリントしやすさに効いています。
ハンダペーストが無駄に残らないのもよかったです。

初回にしてはうまくプリントができたように思いますが、
基板ごとにムラがあり、ハンダペーストがはみ出ているものもありました。


1回目のスキージしたPCB

それでも、従来のやり方と比べたら、かなりキレイな仕上がりです。

🎀 ずれないって分かってるだけで、しっかり動かせるんだね


2度目のプリント

数日後、別のPCBでプリントに挑戦したのですが、
今回は、いろいろと考えて、やり方を変えてみました。

まず、PCBをおおよその位置にがっちり固定します。
次に、ステンシルを手で直接PCBに合わせます。

この段階ではステンシルだけが動くので、位置はすぐに合わせられます。

ぴったり合ったところで、ステンシルをプリンターのフレームへテープで仮止め。
それから、UpperLowerのステンシル保持クランプをステンシルの位置まで動かし、ナットを締めます。

最後にLower側でバネを張ります。
バネを張ると少し位置が動くので、その分だけ微調整します。

この方法なら、微調整に入る前にかなり位置が合っていました。
最初とは比べものにならないくらい早く、しかも正確に合わせられました。

プリンターの調整機構だけで最初から全部合わせようとしたのが、よくなかったんですよね。

🎀 先に人が合わせて、機械にはそこを覚えてもらう感じだね


PCBの厚み合わせ

最初のプリント時は、PCBの厚みに対するアジャスターを上手く使えませんでした。

使ってみると、高さが合っているかは、ステンシルを軽く押すと分かりました。
PCBとの間に隙間があると、押したときにステンシルが沈みます。

PCBをリフトさせた状態で、この沈み方を見ながらアジャスターを調整します。

押しても沈まなくなり、ステンシルとPCBの高さがぴったり合ったところが、そのPCB厚みに合った位置でした。

取説を見ているだけでは、アジャスターをどこまで動かせばいいのか分かりませんでした。
でも、実際には沈むかどうかを見ればよかったんです。

🎀 数字じゃなくて、押した感触で分かるところだった


ステンシルの穴

JLCPCBのステンシルは、注文時に明示的に指定しないと、JLCPCBの規定で作られます。

仮にPasteレイヤーをパッドの50%で作っていても、そのまま50%の穴になるわけではありません。
パッドの大きさを見てJLCPCB側で決められ、基本的にはパッドより大きめになり、形もJLCPCB側で決まります。

JLCPCBの説明では、経験上いちばんよいと考えるサイズにしているとのこと。
穴の周辺にハンダペーストが付く分を見込んで、大きめにしているそうです。


ステンシルの穴

僕は今まで、この穴が大きすぎると思っていました。

というのも、
今までは、ハンダペーストがパッドからはみ出すと、ステンシルの穴が大きいせいだと思っていました。
適当に位置を合わせてプリントしていたのですが、ステンシルが悪いと思っていたんです。

でも、このプリンターで高さを合わせ、ステンシルとPCBをきちんと密着させたら、そうではないと分かりました。

従来のやりかたでは、PCBとの間に隙間がありました。
スキージで押したときにステンシルが沈み、その状態でプリントしていたから、はみ出していたんですよね。
それと、スキージの時にズレたのもあると思います。

穴の大きさが悪いと思っていましたが、悪かったのは密着のほうでした。

🎀 疑ってたステンシル、ちゃんと仕事してたんだね


脱脂と裏拭き

プリントする前には、PCBをIPAで脱脂しておきます。

そして、1枚プリントしたら、次のPCBをセットする前にステンシルの裏側をIPAで拭きます。


ステンシルの裏側

裏側にハンダペーストが残ったままだと、それが次のPCBに付いてしまいます。
余計なところに付くので、パッドの外へはみ出します。

位置と高さが合っていても、裏側に残っていたらきれいになりません。

ここも、実際に続けてプリントすると気になるところでした。

初回は、これをやらずに、枚数が進むとプリントが汚くなっていましたが、
2回目はこんな感じでうまくできました。


2回目のスキージしたPCB

🎀 1枚ごとのひと手間だけど、これが仕上がりの差になるんだね


謎の予備部品

同梱部品の中に、用途の分からないプラ部品がありました。

取り付ける場所は分かったので、最初はPCBの厚みに関係する部品なのかと思いました。
でも、全く違いました。

単純に予備部品でした。

主要な場所に使われているプラ部品と同じものが、予備として同梱されていました。
ただ、取説にはその説明がありません。

分かってしまえば何でもないけど、しばらく謎でした。

🎀 謎パーツ、オプションじゃなくて予備だった


付属のスキージ

先にも書いたように、
付属の金属製スキージは、かなりよかったです。

よかったのですが、
このプリンタのサイズには少し大きく感じました。

というのも、プリントする位置によっては、取り回しがしにくかったです。

なので、もう少し小さい金属製のヘラが欲しくなり、
もしかしたら、もんじゃ焼きのヘラが丁度いいのでは?と思って、自宅周辺の100円ショップを探しました。
以前は金属製のものがあった気がするんですが、見つかったのは樹脂製でした。

そこで、Amazonで金属製の「もんじゃヘラ」を買ってみました。

ちょうど今、届いたところです。
まだ一度も使っていないので、評価はこれから。

もんじゃを食べるときに、ステンシルを思い出すようになるかもしれません。

🎀 本来の用途より先に、ステンシル用として届いたヘラ


おわりに

最初は、調整に時間がかかる面倒な道具だと思いました。

でも、2度目のプリントは、
自分なりに使い方を工夫したり、慣れてきたこともあって、
今までのプリントで何が悪かったのかも見えてきました。

そのおかげで、最初のプリントに比べると、
作業のスピードだけでなく、1回目よりもキレイに、
それも安定してプリントができたように思えます。

やっと、買ってよかったと思えるようになりました。

次は、届いたばかりのもんじゃヘラも使ってみます。

🎀 道具を使いこなせるようになると、作業がもっと楽しくなるね


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