ステンシルプリンターを買ったので、さっそくプリントしてみた!
この記事について
前から少し気になっていた、ステンシルプリンターを買ってみました。
こういう道具は、使い方が分かれば便利そうだけど、
買う前は本当に役に立つのか、いまひとつ分かりません。
実際に届いたものを触りながら、
さっそく、ハンダペーストをプリントしてみることにしました。
今回は、実際に使い始めて感じたことを書いてみます。

🎀 まずは触ってみないと始まらないよね
いままで
基板を何枚も作るなら、ステンシルでハンダペーストを載せて、リフローするのが効率的です。
自分も、ある程度の枚数を作るときは、この方法でやっています。
規模は違いますが、メーカーの工場でやってることと同じです。
PCBにハンダペーストを載せる作業では、
PCBの上にステンシルを直接置いて、位置を合わせてからテープで固定して、手で押さえながらスキージしていました。
数枚なら、それでも何とかなります。
ただ、
ぴったりに位置を合わせて、ハンダペーストがはみ出さないようにキレイに載せて、
毎回同じようにプリントするのは、かなり難しいです。
ステンシルプリンターがあれば、もう少し効率よく、きれいにできるのかなぁ?
以前から、そんなことは考えていました。
🎀 数枚でも、毎回同じように仕上げるのが難しいんだね
買ってみた
最近、僕はほとんどのPCBをJLCPCBで作ってます。
JLCPCBでPCBを注文するとき、画面の下のほうに「あなたにオススメ!」という感じで、メカトロ系JLCCMCの工具や機械を紹介するバナーが表示されます。
そこで見かけたのが、今回買ったステンシルプリンターでした。
バナーには「SMT Stencil Printing – Suitable for 150x150mm Stencils」という文言と写真がありました。
価格は $46.51 と書いてあり、
自分が想像していたステンシルプリンターよりも、かなり安い気がします。
でも、この値段のもので、いったい何ができるんだろう?
気になって商品ページを見るだけのつもりが、まんまと広告に乗った感じです。
なぜか、商品ページでは約10%高い $51.10 になってたので、
あれ?と思いましたが、注文しちゃいました。
円安もあって、だいたい 8,000円くらいです。
ものすごく高いわけではないけど、勢いだけで買うには少し考える金額なんですよね。
ただ、今回はPCBや3D PRINTも一緒にオーダーする予定でした。
ステンシルプリンターを追加しても送料がほとんど増えなかったので、後から単品で買うより、今買っておいたほうがいいかなと思いました。
こういう工具類は、見つけると欲しくなってしまいます。
🎀 必要な人のところに届いたなら、広告としては大成功だね
15×15cm版
今回買ったのは、15×15cmのステンシルに対応したタイプです。
10×10cm版もありましたが、手元のステンシルは基本的に15×15cm。
今までJLCPCBでステンシルを作るとき、送料を抑えるためにカスタムサイズで15×15cmにしていました。
10×10cm版では、手元にあるステンシルが使えません。
JJY-SIMにも使えないので、少し安くても選択肢にはなりませんでした。
20×20cm版もありましたが、今後10×10cmを超えるPCBを作ることは、あまりない気がします。
普段の用途には15×15cm版がちょうどよさそうでした。
このプリンターは、
- ステンシルサイズ:15×15cm
- PCBサイズ:11.5×17cmまで
- プリント有効エリア:10×13cm
となっています。
15×15cmのステンシルが使えても、15×15cmの範囲へプリントできるわけではありません。
ここは別なんですよね。
ちなみに、仕様に記載されている項目には、
Printing Speed : Manual Control
ってあるけど、冗談なのか真面目なのか…難しいです。
🎀 Manual Controlって、速度は人次第ってことだよね
取説と実物
UPSで届きました。
今回は、$100 を超えたので、消費税を払うことに…。
PCBなどと一緒の段ボールの中に、ラップでぐるぐる巻かれた箱に入ってました。
まず、実物を見ると、バネやレバー、高さ調整などがひとつにまとまっていて、
想像していたよりもしっかりしています。
これを自分で作る手間を考えると、この価格は悪くないのかもしれません。
付属品には、スキージ、プラスドライバ、六角ドライバが、
別の袋には謎の樹脂パーツと小さ目のプラスドライバが入っていました。
紙の取説や案内等は一切入っていませんでした。
取説はWeb上の商品ページにありました。
そこには数ページの図解や組み立て手順はありますが、
使い方の説明というよりは、各部品の説明だけという印象です。
実物を前にすると、最初はよく分かりませんでした。
PCBをどこへ当てるのか。
どこを基準にするのか。
アジャスターは、どの位置が正解なのか。
書いてあることが間違っているわけではないんです。
でも、実際に使うときに知りたいところは、触ってみないと分からない。
使いながら各部の動きを見て、ようやく取説の意味が分かってくる感じでした。
🎀 取説を読んだときは分かった気がした。なお実物
バネとレバー
最初に見たときは、やたらとネジとバネが多いと思いました。
セットしてみると、ステンシル側のバネはステンシルを引っ張り、PCB側のバネはPCBを押さえるためのものでした。
ネジは手で回せるナットと、六角穴付きネジがあります。
見た目では多すぎる気がしたけど、それぞれちゃんと仕事をしています。
裏側には、レバーとプーリーのような機構があります。
ステンシルを上へ開いてPCBから離すのではなく、レバーを操作してPCB側を下げる構造です。
レバーを使うと、PCBをステンシルから剥がしてから離せます。
最初は謎の機構でしたが、実際に動かすと分かりました。
🎀 裏側の謎メカ、ちゃんと意味あった
PCBの形状と固定
PCBの前後は、PCBを保持するスライダーで挟んで固定します。
下側のスライダーはバネで押しているので、PCBにテンションをかけて挟むことになります。
左右には、磁石で本体へ張り付く支柱を置きます。
黒色の支柱をPCBの左右に当てて、動かないようにします。
同じ形の支柱には、PCBの高さに合わせるものもあります。
白い支柱はPCBの下へ置いて、下側から支えます。
スライダーと磁石式の支柱を動かして、PCBの大きさや位置に合わせる構造です。
PCBの外形をスライダーへ当てて固定するため、どこかに平行な辺が必要です。
普通の四角いPCBなら問題ないけど、異形のPCBなどは難しそうです。
🎀 同じ支柱が、横止めにも下支えにもなるんだね
最初の位置合わせ
最初に一番時間がかかったのは、位置合わせです。
PCBとステンシルをラフにセットして、プリンターの調整機構で合わせようとしました。
でも、最初のズレが大きいと、微調整どころではありません。
まず、おおよその位置まで持っていく。
そこから細かく合わせる。
この「おおよその位置まで」が、なかなか合いませんでした。
PCBの厚みに合わせるため、高さのアジャスターがあります。
ただ、適切な高さがよくわからなかったので、少し適当になりました。
1枚、2枚だけなら、今までのように手でステンシルを合わせて、テープで固定したほうが早いかもしれない。
最初に使ったときは、そんな印象でした。
たぶん、やり方が悪いんでしょうね。
🎀 楽をするための道具なのに、最初だけめちゃくちゃ手がかかるやつ
最初のプリント
どうにかこうにか、PCBとステンシルの位置と高さを合わせて、
実際にハンダペーストをプリントしてみました。
付属しているスキージは金属製です。
今まではシリコンのヘラを使っていたので、金属製は初めてでした。
使ってみると、これがかなりよかった。
プリンターに固定されたステンシルは平らで、しかもがっちり固定されています。
手で押さえていたときのように、途中でずれないか気にする必要がありません。
固定されている安心感があるので、スキージをしっかり当ててプリントできます。
金属製のスキージもステンシルへきれいに当たります。
今までは、スキージしたあともステンシルの上にハンダペーストが結構残っていましたが、付属のスキージでは、ほとんど残りませんでした。
ステンシルプリンター本体だけでなく、このスキージもプリントしやすさに効いています。
ハンダペーストが無駄に残らないのもよかったです。
初回にしてはうまくプリントができたように思いますが、
基板ごとにムラがあり、ハンダペーストがはみ出ているものもありました。
それでも、従来のやり方と比べたら、かなりキレイな仕上がりです。
🎀 ずれないって分かってるだけで、しっかり動かせるんだね
2度目のプリント
数日後、別のPCBでプリントに挑戦したのですが、
今回は、いろいろと考えて、やり方を変えてみました。
まず、PCBをおおよその位置にがっちり固定します。
次に、ステンシルを手で直接PCBに合わせます。
この段階ではステンシルだけが動くので、位置はすぐに合わせられます。
ぴったり合ったところで、ステンシルをプリンターのフレームへテープで仮止め。
それから、UpperとLowerのステンシル保持クランプをステンシルの位置まで動かし、ナットを締めます。
最後にLower側でバネを張ります。
バネを張ると少し位置が動くので、その分だけ微調整します。
この方法なら、微調整に入る前にかなり位置が合っていました。
最初とは比べものにならないくらい早く、しかも正確に合わせられました。
プリンターの調整機構だけで最初から全部合わせようとしたのが、よくなかったんですよね。
🎀 先に人が合わせて、機械にはそこを覚えてもらう感じだね
PCBの厚み合わせ
最初のプリント時は、PCBの厚みに対するアジャスターを上手く使えませんでした。
使ってみると、高さが合っているかは、ステンシルを軽く押すと分かりました。
PCBとの間に隙間があると、押したときにステンシルが沈みます。
PCBをリフトさせた状態で、この沈み方を見ながらアジャスターを調整します。
押しても沈まなくなり、ステンシルとPCBの高さがぴったり合ったところが、そのPCB厚みに合った位置でした。
取説を見ているだけでは、アジャスターをどこまで動かせばいいのか分かりませんでした。
でも、実際には沈むかどうかを見ればよかったんです。
🎀 数字じゃなくて、押した感触で分かるところだった
ステンシルの穴
JLCPCBのステンシルは、注文時に明示的に指定しないと、JLCPCBの規定で作られます。
仮にPasteレイヤーをパッドの50%で作っていても、そのまま50%の穴になるわけではありません。
パッドの大きさを見てJLCPCB側で決められ、基本的にはパッドより大きめになり、形もJLCPCB側で決まります。
JLCPCBの説明では、経験上いちばんよいと考えるサイズにしているとのこと。
穴の周辺にハンダペーストが付く分を見込んで、大きめにしているそうです。
僕は今まで、この穴が大きすぎると思っていました。
というのも、
今までは、ハンダペーストがパッドからはみ出すと、ステンシルの穴が大きいせいだと思っていました。
適当に位置を合わせてプリントしていたのですが、ステンシルが悪いと思っていたんです。
でも、このプリンターで高さを合わせ、ステンシルとPCBをきちんと密着させたら、そうではないと分かりました。
従来のやりかたでは、PCBとの間に隙間がありました。
スキージで押したときにステンシルが沈み、その状態でプリントしていたから、はみ出していたんですよね。
それと、スキージの時にズレたのもあると思います。
穴の大きさが悪いと思っていましたが、悪かったのは密着のほうでした。
🎀 疑ってたステンシル、ちゃんと仕事してたんだね
脱脂と裏拭き
プリントする前には、PCBをIPAで脱脂しておきます。
そして、1枚プリントしたら、次のPCBをセットする前にステンシルの裏側をIPAで拭きます。
裏側にハンダペーストが残ったままだと、それが次のPCBに付いてしまいます。
余計なところに付くので、パッドの外へはみ出します。
位置と高さが合っていても、裏側に残っていたらきれいになりません。
ここも、実際に続けてプリントすると気になるところでした。
初回は、これをやらずに、枚数が進むとプリントが汚くなっていましたが、
2回目はこんな感じでうまくできました。
🎀 1枚ごとのひと手間だけど、これが仕上がりの差になるんだね
謎の予備部品
同梱部品の中に、用途の分からないプラ部品がありました。
取り付ける場所は分かったので、最初はPCBの厚みに関係する部品なのかと思いました。
でも、全く違いました。
単純に予備部品でした。
主要な場所に使われているプラ部品と同じものが、予備として同梱されていました。
ただ、取説にはその説明がありません。
分かってしまえば何でもないけど、しばらく謎でした。
🎀 謎パーツ、オプションじゃなくて予備だった
付属のスキージ
先にも書いたように、
付属の金属製スキージは、かなりよかったです。
よかったのですが、
このプリンタのサイズには少し大きく感じました。
というのも、プリントする位置によっては、取り回しがしにくかったです。
なので、もう少し小さい金属製のヘラが欲しくなり、
もしかしたら、もんじゃ焼きのヘラが丁度いいのでは?と思って、自宅周辺の100円ショップを探しました。
以前は金属製のものがあった気がするんですが、見つかったのは樹脂製でした。
そこで、Amazonで金属製の「もんじゃヘラ」を買ってみました。
ちょうど今、届いたところです。
まだ一度も使っていないので、評価はこれから。
もんじゃを食べるときに、ステンシルを思い出すようになるかもしれません。
🎀 本来の用途より先に、ステンシル用として届いたヘラ
おわりに
最初は、調整に時間がかかる面倒な道具だと思いました。
でも、2度目のプリントは、
自分なりに使い方を工夫したり、慣れてきたこともあって、
今までのプリントで何が悪かったのかも見えてきました。
そのおかげで、最初のプリントに比べると、
作業のスピードだけでなく、1回目よりもキレイに、
それも安定してプリントができたように思えます。
やっと、買ってよかったと思えるようになりました。
次は、届いたばかりのもんじゃヘラも使ってみます。
🎀 道具を使いこなせるようになると、作業がもっと楽しくなるね
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