JJY-SIM R3 実装編 低温ハンダでリフローしてみた!

JJY-SIM R3基板を手に持ち、違和感に気づいた様子のろらたん(低温ハンダによるリフロー実装のイメージ) ESP32

JJY-SIM R3 実装編 低温ハンダでリフローしてみた!

この記事について

前回は 設計編(Vol.51) を書きました。
今回はその続きで、実際に基板を組んでみた話です。

設計しているときって、わりと自由に考えられるんですが、
実装になると一気に「現実」になります。

ちゃんと動くのか。
どこかミスってないか。

そういう意味では、今回のR3は
ちょっとした答え合わせみたいなものです。

地味な改良の積み重ねだった設計が、
実際にどうなったのか。

そのあたりを書いていきます。

🎀 設計の“理想”と、実装の“現実”がぶつかる回だね

リフロー作業中のろらたんの画像


基板とパーツが届いた

まずは、JLCPCBから基板とケースが到着。

JLCPCBからの荷物_1
JLCPCBからの荷物_1

今回ちょっと嬉しかったのが、
全部ちゃんとハマること

ケースに基板を入れてみたら、ぴったり。
OLEDの位置も、窓にきれいに収まる。

設計のときに「まあ、いけるでしょ」くらいの感覚だったんですが、
ちゃんと合うとちょっと安心します。

それと、Aliで買った薄型スライドスイッチ。

これも載せてみたら、きれいに収まりました。
高さも問題なし。ケースとも干渉しない。

正直ここはちょっと不安だったんですが、
結果的にはいい感じでした。

基盤とケース

台座PCBも、切り離して仮置きしてみたら、
これもちゃんと想定通りの高さ。

「基板でスペーサー作る」ってやつ、
わりとアリだなって思いました。

🎀 全部ピッタリはちょっと気持ちいいやつ


リフローに挑戦してみる

いままでの JJY-SIM では、基本的に手ハンダで作っていました。

まあ、そのほうが確実なので。

ただ今回は、せっかくなので
ホットプレートでのリフローを試してみることにしました。

実は、リフロー用のホットプレートは前から持っています。

ただ、これまでに何度か別の基板で試したことはあるものの、
いまいちうまくいかなくて、あまり活躍していませんでした。

ちゃんと溶けてはいるんだけど、
仕上がりが微妙にきれいじゃない、というか。

なんとなく「使えるけど気持ちよくない」感じ。

なので、結局手ハンダに戻ってしまう、というパターンが多かったです。

そこで今回、ふと思いました。

もしかして、温度が高すぎるのが原因なんじゃないか?

だったら、

低温ハンダを使えば、うまくいくんじゃないか?

そんな感じで、試してみることにしました。

🎀 それ、“うまくいってないやつをもう一回やる”流れだよね


低温ハンダ

いままでは普通の共晶ハンダを使っていました。

ただ、高温で LED が微妙に変色することがあったり、
今回は樹脂部品(スイッチ)もあるので、
前の章に書いたようにリフローの実験も兼ねて、
低温ハンダを使ってみることにしました。

低温ハンダは、その名前の通り、
通常のハンダよりも低い温度で溶けるハンダです。

一般的な共晶ハンダ($Sn63 Pb37$)は約183℃で溶けますが、
今回使っているビスマス系の低温ハンダ($Sn42 Bi58$)は、約138℃で溶けます。

その分、
– 部品への熱ダメージが少ない
– 樹脂部品やLEDに優しい

といったメリットがあります。

ただし、
– 色がくすむ
– セルフアライメントが弱い
– 機械的な強度がやや低い

といった特徴もあって、
使いどころは少し選ぶ感じです。

🎀 低温って聞くと安心だけど、クセ強いのがまた面白いよね

ちなみに、
今回、低温ハンダのペーストをAmazonで買ったんですが、
なぜかAliでは全然見つからないんですよね。

無鉛や共晶とかはいっぱいあるのに、低温はヒットしない。
これ、ちょっと謎です。
輸出制限とか、そのあたりが絡んでるのかもしれません。

ついでに、ディストリビューターをAliで買いました。
レビューで「硬くて出ない」って書かれていたので。

低温ハンダとディストリビューター

結果としては、

ディストリビューターを使ったら 楽に出せました。
握るだけなので、作業もしやすいです。

ステンシル使って、ホットプレートで実装してみます。

🎀 “なんでAliに無いの?”ってやつ、地味に気になるやつ


スキージと実装

JJY-SIM基板の厚みは1.6mmです。
これと同じ厚みの基板を使って、四方を囲むようにします。

基板をフラックスクリーナーで軽く洗浄しておきます。

基板のパッドとステンシルの穴がぴったり合うようにしてから、
ステンシルをテープで貼って、
基板がずれないように固定します。

ステンシルを貼った様子

シリンジからペーストを出しながら、
ヘラを使って、ステンシルの穴を埋めていきます。
以前は、使わないクレカとかをヘラ代わりにしていたのですが、
今回は100均でキッチンで使うシリコンのヘラを調達しました。

途中で、ステンシルが浮きそうになるのを抑えるのが結構難しい。

パッドからはみ出た部分があるのがちょっと不安です。
結局、この不安は的中することになりました。

このあと、抵抗やキャパシタなど、
OLED以外の部品を載せていきます。

部品は手で載せるのですが、
ちょっと斜めになったり、ズレたりとかで、
これが意外と難しい。
自動実装機が欲しくなりました(笑)

部品を載せたところ

🎀 ここ、地味だけど一番“腕”出るところだよね


リフローしてみた

ホットプレートは170℃設定。
熱のムラが無いようにするためと、
ホットプレートが焦げ付いたりしないようにするために
3mmのアルミ板の上に基板を置いて加熱。

ホットプレートにのせた様子

赤外線式の非接触温度計を使って、
基板上面の温度を計測しながらみていました。

徐々に温度が上がっていくと、
140℃あたりでハンダが溶けていくのが分かります。

温度計で計測してる様子

これはちょっと面白い。

当たり前なんだけど、
ちゃんと138℃あたりで溶けるんだなあって、
ちょっと感動しました。

共晶のときと違って、
「急にスッと溶ける」感じではなくて、
じわっと変わる印象でした。

🎀 溶ける瞬間って、何回見ても楽しいやつ


ハンダボールと違和感

一応、ちゃんと部品は乗る。

ただ、違和感もあります。

  • 色がくすんでる
  • セルフアライメントが弱い
  • ハンダボールが多い

色がくすんでいるのと、セルフアライメントが弱いのは、
予定通りというか、まあ仕方ないかなって感じです。

たしかに、共晶ハンダみたいにピカッとならないし、
溶けたときの動きも少し違う感じがあります。

そのせいか、部品が勝手にセンターに寄る力も弱くて、
位置ズレがそのまま残りやすい印象です。

思った以上に、ハンダボールの細かい粒がいっぱい出ました。

最初は「まあこんなものかな」と思ったんですが、
よく見ると結構多い。

特に目立つのが、
ESPモジュールの端子付近

ここだけやたら粒が残っている感じで、
ちょっと違和感があります。

🎀 “なんか変だな”っていう直感、だいたい当たるんだよね

写真も撮ろうと思ったんですが、
気づいたときにはすでに掃除してしまっていました(笑)


原因を考える

AI に聞いてみたら、いくつか原因の候補が出てきました。

  • 端子部分に引き込まれきらなかったペーストが残っている
  • パッドからはみ出した分が、そのままボールになっている
  • そもそもペースト量が多すぎる

…まあ、言われてみれば、どれもありそうです。

対策としては、

  • ステンシル厚みを 0.12mm → 0.10mm
  • 開口部を 80〜90% に縮小

このあたりがよさそうとのこと。

たしかに、今の設定は「ほぼそのまま開けてる」状態なので、
ちょっと盛り気味なのかもしれません。

それと、温度の上げ方にも原因があるかもしれないと言われました。

いきなり溶かすというよりは、
一度100〜120℃くらいで全体を温めてから、
ゆっくりリフロー温度に持っていったほうがよさそうです。

フラックスが一気に蒸発すると、
ハンダが弾けてボールができやすいとのこと。

このあたりも、今回のハンダボールの原因のひとつかもしれません。

🎀 それっぽい原因が見えてくると、ちょっと安心するよね

ちなみに、ESPモジュールの端子って、
いわゆる「キャスタレーション(castellation)」になっています。

基板の端面にメッキされた半円状の端子で、
外側からはんだ付けする前提の構造です。

この形状だと、溶けたハンダが端子の内側に引き込まれやすくて、
外側に余ったペーストが残りやすいみたいです。

その結果として、今回みたいに
端子の周りにハンダボールが出やすくなる、という話らしいです。

🎀 あの半分えぐれてる端子、ちゃんと意味あったんだね


効率化のはずが…

ただ、ここでちょっと悩みが出てきます。

せっかくステンシルを使って、
効率よく実装するつもりだったのに

むしろ手間が増えている気がするんですよね。

  • ハンダボールの清掃
  • セルフアライメントが弱い部品の手直し
  • ハンダ状態の確認

基本的には「多すぎ」なんですが、
場所によっては逆に足りてないところもあったりして、
結局、目視チェックと手直しが必要になります。

これだと、

やっぱり、手ハンダのほうが早いんじゃないか?

っていう、ちょっと危険な考えも頭をよぎります。

いや、それはさすがに本末転倒なんですけどね。

でも、量産を考えると、
ここはちゃんと詰めないといけないポイントです。

どうやって効率よく作るか。

このあたり、もう少し考えないといけなさそうです。

🎀 効率化しようとして手間増えるの、ほんとあるある


共晶でも同じ?

今回、低温ハンダでやってみて思ったのは、

これ、たぶん今回だけの話じゃないな、ということです。

いままで共晶ハンダでリフローしたときに、
なんとなく「うまくいかないな」と感じていた理由。

あれも結局、同じようなことだったんじゃないかなと。

温度の問題じゃなくて、

  • ペースト量
  • ステンシル条件
  • パターン形状

このあたりが全部絡んでいて、
それが原因だったような気がします。

いままでは、なんでうまくできなかったのかがよくわかってなかったけど、
今回は AI があったので、うまく行かなかった理由のいくつかが分かりました。

🎀 原因が分かると、今までのモヤモヤ全部つながるやつだね


動作確認

OLED は手で半田付け

とりあえず、最低限の確認。

ESP-IDFで軽くプログラムを書いて、

  • LED点灯
  • OLED表示

このあたりをチェック。

OLEDにはシャチ君のロゴを表示させて、
LEDはLチカさせました。

動作確認の様子

ESP8684 と ESP32-C3 の共用したフットプリント
もとりあえず問題なさそうです。

RESETとBOOTの回路もちゃんと動いていて、
書き込み時に自動でモードが切り替わるのも確認できました。

ここまで来ると、だいぶ安心。

「とりあえず壊れてはいない」状態です。

それと、ちょっと面白かったのが、

LEDが透けて見える

黒ケースなのに、ほんのり光が漏れる。

これが思ったよりいい感じで、
「穴開けなくてよかったな」と思いました。

結果的に、ちょっとしたアクセントになってます。

🎀 隠したのに見えるやつ、ちょっとカッコいいやつ


実装して見えてきたこと

基本的に、回路の間違いやアートワークの問題はなさそうです。

なので、今回作った基板はそのまま使います。

これはこれで、ちゃんと動いているので。

ただ、実際に組んでみると、
「ここ、もうちょっとこうしたいな」というところが、いくつか出てきます。

設計しているときには気にならなかったのに、
実物を見ると見えてくるやつですね。

たぶん、このあたりは毎回そうです。

というわけで、

  • ステンシルを 0.10mm
  • 開口を 85%

この条件で作り直してみて、
もう一度リフローをやってみようと思っています。

今回の感じだと、
まだちょっと“盛りすぎ”な印象があるので、
そこを少し絞ってみる方向です。

うまくいくかどうかは、正直やってみないと分かりません。

ただ、この手の調整って、
一発で決まることはあまりないんですよね。

少しずつ詰めていくしかない。

…まあ、それも含めて、こういう作業なんだと思います。

🎀 実物になると急に見えてくるやつ、あるよね


ここまでは順調

正直なところ、

リフローの件を除けば、ここまではかなり順調です。

回路も、パターンも、
致命的なミスはなし。

「やらかしたかも…」っていうポイントも特にない。

こういうときって、ちょっと怖いんですよね。

順調すぎると、あとで何か来る。

経験的に、だいたいそうです。

今回も、たぶんそうなる気がしています。

…いや、たぶんじゃなかったですね。

🎀 その言い方、完全にフラグ立ってる


余談:手摺カバーのその後

ついでに頼んだ、階段の手摺カバー。

これも届きました。

見た目は、かなりいい感じ。
既存のものとほぼ同じ。

「これ完璧じゃん」と思って、
早速はめてみたら──

入らない。

よく見ると、
ほんの少しだけ穴が小さい。

たぶん、実測値そのまま使ったのが原因ですね。
マージンを見てなかった。

こういうの、基板だとあんまり気にしないんですが、
機構だとモロに出ます。

まあ、これは次回リベンジかな。

🎀 “ぴったり”と“入らない”は紙一重なんだよね


次回予告

というわけで、
R3の実装自体は、ここまで問題なく進みました。

ただ、このあと

ちょっと面倒な話

が出てきます。

ESP8684。

こいつ、なかなか素直じゃない。

Arduinoでやろうとしたら、
思ったよりもややこしいことになりました。

このあたりは、次回に書こうと思います。

🎀 “ややこしいことになった”ってだいたい面白い回



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