JJYシミュレーター改良計画!なぜモータードライバICなのか?
この記事について
前に作った JJYシミュレーター(JJY-SIM)、一応は動くけど、RFがどうにも気に入らない。
そこで、基本回路はそのままに、RFまわりだけを見直す改良計画を始めました。
この記事はその記録です。

🎀 前のJJY-SIMでも一応は動いたけど、やっぱり“納得できる波形”を目指したくなるんだよね〜!
現行版のRFは「お守り」レベル
現状のJJY-SIMでは、RF回路の構成は GPIO → NPN → Pch-FET → アンテナ → GND というシンプル構成。
アンテナ端子にCとRを並列に入れてるだけで、ほとんどお守りフィルタみたいなものです。
ヤフオクとかに出品してる現行版は、最初に作ったプロトタイプのPCBのままで、CとRの定数だけをChatGPTに従って見直したもの。
一個所だけ、CをRに変えていますが、PCBはそのまま使っています。
この改良で、プロトタイプよりは若干は良くなった気がします。
それでも、波形をオシロでみると、キレイな波形からは程遠い。
「これ電波って言えるのか…?」ってくらい、形が崩れていてよく分からない。
実際に出力も弱くて、数十センチ先の時計なら反応するけど、ちょっと離れると全然ダメ。
時刻合わせをするときだけ使うならいいけど、常時運用には向かない。
🎀 できれば、もう少しは電波を飛ばしたいよね…!
現状の問題点
RF回路については知識が乏しいので、ChatGPTに頼ることにしました。
まずは、現状のRF回路について、問題点を聞いたところ、
現状は「NPNトランジスタでレベル引っ張って → Pch-FETをハイサイドスイッチとして駆動」って構成にしてるんだね。
その場合、
Pch-FETのオン抵抗(Rds_on)+Vdsドロップ
NPNのベース電流不足によるスイッチングの鈍さ
ゲート電圧スイングが浅いと完全に切り替わらず、効率悪化
…このあたりが効率の落ち所になりやすいと思う。
ずばり、指摘されちゃいました。
🎀 トランジスタとFETのクセが全部重なって、効率がガタ落ちしてたんだね…なるほど〜
ChatGPTの意外すぎる提案
「もうちょっとマシにしたい」とChatGPTに相談したら、返ってきた答えがこちら。
RFまわり、がっつり見直すなら「コイルを“共振で太らせる”+“まともなドライバにする”」が一番効きます。
近傍磁界(H場)**で時計の受信コイルに結合させるので、面積×巻数×電流をどう太らせるかが勝負です。「効率の悪さは「非共振+弱いドライブ」に集約しがちなので、LC直列共振+ブリッジ駆動を入れるだけで別物になります。」
って言われました。
具体的な対策は、
- LC直列共振でコイル電流を稼ぐ
アンテナのLを計測して、共振するようなCと、適切なQになるRにすれば出力↑。- アンテナをフェライトロッド+銅線多ターンにする
μr効果でL↑・磁束密度↑、効率が段違い。- ハーフブリッジ化
Nch×2でブリッジを組んで±駆動にすると、出力振幅が2倍→コイル電流も倍増。- ローサイドNch-MOSFET化
PchよりRds_onが低くて扱いやすい。ハイサイドでなくても回路のアース基準で駆動できるから、損失は一気に下がる。
とのこと。
元々はフェライトのアンテナにしたかったんだけど、サイズ的にあえてPCBアンテナにしてるため、アンテナは変えたくない。
ローサイドでNch-FETは、単にVCC側のFETがGND側になっただけって感じで、今とあまり変わらなさそう。
なので、Lをちゃんと計測して直列共振にして、Hブリッジ化にすることにしました。
そこで、ChatGPTにHブリッジの具体的なやり方を教えてって聞いた結果・・・
「モータードライバーICを使って、Hブリッジでアンテナを駆動してみたら?」
…え?モータードライバー!?
最初は完全にツッコミ案件でした(笑)。
でも考えてみると、Hブリッジは元々“大電流を高速でスイッチする回路”。
負荷がモーターじゃなくてアンテナでも、理屈としては成立するんですよね。
普通のRF設計からすると変化球すぎるけど、逆にAIらしい柔軟な発想で「なるほど、そう来るか!」って納得しちゃいました。
🎀 こういう“ちょっとズレてるけどアリかも?”って発想、AIらしいよね〜
HブリッジICで±駆動
モータードライバーICを使うことを提案されたので、もう少し具体的に聞いたら、
- 3,3V対応の モータドライバIC を使ってコイルを±にスイッチ
- 60 kHzでも動くデバイスを選ぶ(多くは数百kHz PWM対応)
- 直列Cで共振+±駆動にすると、3.3 Vでも実効電圧は≈2倍に
- 長所:部品点数少・設計ラク、ゲート駆動の悩みが消える
- 短所:IC選定だけ注意(周波数/電流仕様)
負荷(アンテナ):OUT_A — [コイルL] — [直列C] — OUT_B の直列共振にする。
Cは、以下の計算式で求める。
$C=\dfrac{1}{(2\pi f_0)^2 L}$Qが高すぎたら小さめ直列Rや並列ダンパRで調整(目安Q=20〜50)。
GNDはスターで、ロジック系とは一点で合流
それと、
電源が USBで来てるなら、MCU=3.3 V、RF段=5 Vに分離するのが最強手。
3.3 V→5 Vで電流余裕が一段上がる。共振と合わせて劇的に効く
とのことなので、RFはUSBからの5Vにすることにしました。
ただし、3.3Vもジャンパーで選べるようにするつもりです。
🎀 数式が出てくると一気に“本格研究室”っぽくなるよね!
ドライバICの選定
Hブリッジ化するならモータードライバが必要。秋月のWEBで価格と仕様をざっと比較して候補を3つに絞った。
| 型番 | 周波数レンジ/記載 | タイミング仕様 | 価格感 | 所感 |
|---|---|---|---|---|
| AM8068 | ~65kHzまで使えそう | 不明(時間パラメータの記載なし) | 安い | 魅力は価格。ただしタイミング不明が不安 |
| AM1025EA | ~65kHzまで使えそう | 不明 | 安い | 上とパッケージ違いで“中身ほぼ同じ”っぽい。入手しやすい |
| NJU7386RB1 | データ記載しっかり | あり(立上/立下など明記) | 少し高い | 安心料でこれに決めたい気持ちが強い |
🎀 安い方に流されるか、安心を買うか…エンジニアの永遠のジレンマだよ〜
40kHz帯を扱うので、レンジ上限65kHzは十分。 ただしAM系は出力の時間仕様(伝搬遅延/立上り/デッドタイム等)が明記されておらず不安。一方でNJU7386RB1はタイミング情報が明記されていて安心感が高い。
結論:本命はNJU7386RB1に決定。
早速、他の用事ついでにアキバの秋月に行って買ってくることに。
……のはずが、アキバの秋月でNJU7386RB1は店頭欠品(通販在庫はあり)。
ひとまずAM1025EAを購入して、実験することにしました。
動作が良ければそのままで、タイミングで問題が出る/波形が荒れるようなら、NJU7386RB1へ差し替え(通販取り寄せ)です。
ただ、AM1025EAとNJU7386RB1はピン互換じゃないしパッケージも別だから、PCBは実験後に起こすことになります。
🎀 “安心料”のつもりが“在庫”に負けた…あるあるだね…!
ソフト側の変更点(要実験)
これまではPWM 1本で駆動していたけど、Hブリッジ化するなら反転PWMをもう一方へ入れる必要があります。
インバーターで反転を作って入力しようと思ったけど、
「AM変調で振幅を落とす“オフ区間”を作るには、LL(Hi-Z)またはHH(ブレーキ) を出せる仕掛けが必要」
って言われたので、これではオフ区間(デッドタイム)が作れない。
ESP32-C3のPWM(LEDC)ならチャンネルごとに反転出力が設定可能なので、この機能を使って別のGPIOから反転を出すことにしました。
これなら、どちらも同時にLを出力することもできます。
現状、GPIOのピンは余ってるので問題ありません。
まずは反転PWMの生成とデューティ同期の実験と、デッドタイムの要否も確認することにして、
ここがOKになったら、PCB発注。
🎀 基板発注の前に“ソフトで握る”の、大事〜!
まずはアンテナLを測る
「LC直列共振でコイル電流を稼ぐ」ためには、
まず、アンテナのインダクタンス(L値)をきちんと把握すること。
推定値
ChatGPTに「螺旋状のPCBアンテナで、直径4cm、両面合わせて22回巻き、Lはどのくらい?」と質問したら、以下のような推定値を出してくれました。
平面渦巻(丸形)の近似は “Modified Wheeler” が手堅いので、それで概算するね。
式は
$L \approx K_1\,\mu_0\,N^2\,d_{\rm avg}/(1+K_2\,\rho)$
- $N$:ターン数
- $d_{\rm avg}=(d_{\rm out}+d_{\rm in})/2$(平均直径)
- $\rho=(d_{\rm out}-d_{\rm in})/(d_{\rm out}+d_{\rm in})$(フィル比)
- 丸形は $K_1=2.23,\;K_2=3.55$(Mohan 1999)
「直径4 cm(=外径40 mm)、両面合計22回巻き」を、外径40 mm・ピッチ(線幅+間隔)が現実的な0.3–0.5 mm相当で詰めた場合の目安:
- ピッチ0.5 mm相当 → 内径≈18 mm → L ≈ 17 µH
- ピッチ0.4 mm相当 → 内径≈22.4 mm → L ≈ 21 µH
- ピッチ0.3 mm相当 → 内径≈26.8 mm → L ≈ 26 µH
つまり、このサイズ感なら おおよそ 20–30 µH が妥当。
内径がもっと小さい(超詰め)なら ~35 µH、逆にスカスカなら ~10–15 µH まで下がるレンジ感だよ。係数と式は上の論文どおり(Mohanらの簡易式)
なるほど…(難しすぎる)
実測
これを目安にして、実際の値を計測してみます。
L(インダクタンス)の実測は何通りかあるけど、既知Cとの共振法 にしました。
原理:
Lと既知のCで直列(または並列)共振させ、共振周波数 f₀ から
$L=\dfrac{1}{(2\pi f_0)^2 C}$
を求める。具体的には、
- 誤差の小さい 既知Cを準備。
- 信号源+小さめ直列抵抗 Rs(100〜1kΩ)を介して、[信号]─Rs─L─C─GND と接続。
- 周波数を掃引して、Rsの両端電圧が最大になる点=共振 f₀ を探す(=電流最大)。
- 上の式で L を計算。
Cを0.1µFにしてサクッと測れます。
たぶん今回のPCBアンテナ(直径4cm・両面22ターン級)だと、共振は90–120 kHz付近に出るはず。
らしいです。
簡単な測定回路を組んで実測しました。
0.1µFのフィルムコンデンサと100Ωの抵抗を直列にして、SGを50~200kHzで掃引。
抵抗の両端の電圧が最大になる周波数を計測します。

120KHz付近で電圧が最大になりました。
これに、さきほどの計算式を当てはめてみます。
計算:
$L=\dfrac{1}{(2\pi f_0)^2 C}$
$f_0=120\text{kHz},\,C=0.1\mu\text{F}\Rightarrow L\approx\mathbf{17.6\ \mu H}$
出てきた値がChatGPTの予測とかなり近くて驚きました。
🎀 えっ、予想が当たってる!?…これ、ちょっとAIを見直しちゃうね
共振回路の定数を決める
L(インダクタンス)が分かったので、実回路のCとRを計算します。
Cを共通にして40/60kHzどちらも回したいので、共振周波数を40と60の“真ん中”に置いて、意図的にQを下げて帯域でカバーするようにします。
共通Cは 幾何平均に合わせる:
$f_0=\sqrt{40\,\text{k}\times60\,\text{k}} \approx \mathbf{49.0\,\text{kHz}}$
$C=\dfrac{1}{(2\pi f_0)^2 L}$
$L=17.6\,\text{uH} \Rightarrow$ C ≈ 599.4nF(≈ 0.6μF)
Qは 低め(=広帯域) に設定:
半値幅 $\Delta f = f_0/Q$。40〜60kHzを−3dB以内で一気に入れたければ Q≲1.3(かなり低Q)。
−6〜−7dB程度の落ちを許容なら Q≈2〜2.5 でもOKなので、1.8程度にしようかな。
シリーズ共振の $Q \approx \dfrac{\omega_0 L}{R_{\text{total}}}$ なので、$R_{\text{total}} \approx \dfrac{2\pi f_0 L}{Q}$
$f_0=49\text{kHz},\,L=17.6\,\text{uH},\,Q=1.8 \Rightarrow$ R ≈ 3.0Ω
「理想直列R想定。基板スパイラルの銅損や誘電体損も含めると自然にそのくらいのQになっている可能性もある」らしいので、
CもRも実基板で実験しながら調整する必要がありそうです。
🎀 40と60の真ん中に合わせるなんて…ちょっとしたズルい作戦だね!
回路図とアートワーク
アンテナLの目安が出たので、計算したCとRを反映して回路図を全体的にまとめ直しました。
そして、そのまま勢いでPCBアートワークまで進めています。
今はここまで。
このあと、実験して確認しないと安心してPCBを発注できないので、
波形とタイミングの“素行調査” をやってから発注する予定です。
- ソフトをHブリッジ用に変更
- ブレッドボードなどでドライバICの出力を確認
- ドライバICの勝者を決めて回路とアートワークに反映
一通りの作業が完了した段階で、回路図やソフトをGitHubに公開します。
🎀 設計図が形になると一気にワクワクしてくるよ〜!
今後の予定
- ドライバICとソフトの実験
- PCB 発注 → 到着 → 実装
- 反転PWMのソフト対応(必要ならデッドタイム挿入)
- 実験 → 完成!
この続きは「基板到着&実装編」としてお届けする予定です。
🎀 進化版JJY-SIM、ちゃんと動くのか楽しみだよ〜!
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